
レコンキスタの完成とは、約800年にわたって続いたキリスト教勢力によるイベリア半島の「国土回復運動」が、最終的にイスラーム勢力を完全に排除して終結した状態を指します。つまり、「イベリア半島からイスラーム政権が姿を消した瞬間」が、レコンキスタの完成とみなされるのです。では、具体的に「レコンキスタの完成」と呼ばれる根拠や、その出来事の意味について詳しく見ていきましょう。
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レコンキスタの完成とされる最も重要な出来事は、1492年のグラナダ陥落です。
イベリア半島に最後まで残っていたナスル朝グラナダ王国(1238年 - 1492年)が、カスティーリャ王国とアラゴン王国の連合軍(カトリック両王の軍)に包囲され、ついに降伏しました。このとき、イスラーム王ボアブディルは、グラナダの象徴であるアルハンブラ宮殿の鍵をカトリック両王に引き渡しました。これによりイベリア半島からイスラーム支配が完全に終わったのです。
グラナダ陥落によってイベリア半島全域がキリスト教勢力の統治下に入り、政治的にも宗教的にもイスラーム勢力の支配は消滅しました。これをもって、長年続いたレコンキスタが「完了した」と見なされるのです。
単に戦争の終わりではなく、その後の社会や国の在り方にも大きく関わる意味がありました。
カスティーリャとアラゴンのカトリック両王によるグラナダ征服は、スペイン王国としての国家統一の完成を象徴しました。封建的に分裂していたイベリア半島が一つの王権のもとにまとまった瞬間だったのです。
レコンキスタの目標は「土地の奪還」だけでなく、「キリスト教信仰の回復」も含まれていました。グラナダ陥落によって、半島のイスラーム教徒(ムデハル)はキリスト教徒の支配下に置かれ、さらに1492年のユダヤ人追放令(アルハンブラ勅令)によって、カトリック以外の宗教を排除する動きが加速しました。
レコンキスタの完了と同時に、スペインは大航海時代へと突入します。1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達したのも象徴的ですね。つまり、レコンキスタの完了はイベリア半島の内部統一の終わりであり、世界に向けた拡張の始まりだったのです。
以上のように、総合的に見て、「レコンキスタの完成」とは以下の3つの達成を意味しています。
イベリア半島から最後のイスラーム国家(グラナダ王国)の滅亡。これにより、キリスト教勢力による完全支配が達成されました。
カスティーリャとアラゴンの王権統一が実質的に完成し、近代国家としてのスペインが誕生したこと。
イスラーム教徒やユダヤ人の追放・改宗によってカトリック教会が宗教的覇権を確立し、宗教的にも統一が実現したこと。
このように、「レコンキスタの完成」とは1492年のグラナダ陥落をもって、イベリア半島全体がキリスト教勢力のもとに統一され、宗教的・政治的な支配が確立した瞬間を指すのです。そして、この出来事がスペインという国の成立と植民地時代の始まりを同時に告げる重要な節目になったわけですね。