
レコンキスタが始まるきっかけになった事件、つまり「なぜキリスト教徒たちがイスラム勢力に立ち向かうことになったのか?」というところを知ると、この長い戦いのスタート地点がよくわかりますよ。では、どんな事件がレコンキスタの始まりを告げたのか、その決定的な出来事を順番に確認していきましょう。
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そもそもレコンキスタが始まるためには、まずイスラム勢力がイベリア半島を征服するという大事件がありました。それが711年に起きたウマイヤ朝の軍による侵攻です。このとき、イスラム教徒の軍はジブラルタル海峡を渡り、わずか数年でイベリア半島の大部分を支配下におさめたんです。キリスト教徒たちにとっては突然の大ピンチだったわけですね。
このイスラム勢力の侵攻を決定づけた戦いがグアダレーテの戦いです。ここで西ゴート王国の王ロデリック(最後の西ゴート王)が敗れてしまいます。この敗北によって、イベリア半島のキリスト教支配が一気に崩壊し、イスラム勢力がほとんどの地域を制圧することになったんですね。だからこの戦いがレコンキスタの直接的なきっかけだったといえるでしょう。
でも、これでキリスト教徒が完全に消えたわけではありません。実は北部の山岳地帯に逃げ延びたキリスト教徒たちが722年のコバドンガの戦いでペラーヨ(アストゥリアス王国の初代王)に率いられてイスラム軍に勝利します。この勝利がレコンキスタの最初の反撃となり、「ここから奪い返していこう」という動きが始まったんです。つまり、コバドンガの戦いはレコンキスタの実質的な出発点とも言えるわけですね。
さらに「異教徒に奪われた土地を神の名のもとに取り戻す」という宗教的な使命感も、この頃から強まっていきました。単なる領土争いではなくキリスト教の信仰を守るためという意識が高まったことが、長いレコンキスタへとつながっていったんです。
このようにレコンキスタのきっかけは、イスラム勢力の侵攻という衝撃的な事件と、それに対するキリスト教徒の反撃にあったわけです。だから「いきなり始まった戦争」というより、「自分たちの土地と信仰を取り戻すための戦い」としてスタートした、というのが本当のところなんですね。