
レコンキスタと大航海時代——この二つの歴史がどのようにつながるのか、不思議に思うかもしれません。しかし、実際にはレコンキスタが終わったことが、大航海時代の始まりに大きく影響を与えました。戦争が終わったことでスペインとポルトガルは新たな「征服の場」を求めるようになり、その流れが大西洋の彼方へと向かっていったのです。では、具体的にどのような因果関係があったのか、政治・経済・宗教の観点から見ていきましょう。
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レコンキスタの終結は、スペインとポルトガルの国のあり方を大きく変えました。
レコンキスタの間、スペインとポルトガルの人々は「異教徒から領土を奪う」ことを正当な使命としてきました。この戦いが終わると、新たな征服の場を求める動きが強まり、その視線がアフリカやアジア、そして新大陸へと向かったのです。レコンキスタによって培われた戦士文化が、そのまま大航海時代の探検家や征服者たちに受け継がれていきました。
レコンキスタが終わると、多くの騎士や傭兵が職を失いました。彼らは戦いに慣れた者たちであり、新たな戦場を求める流れの中で、大航海時代の遠征に参加していったのです。実際、コルテスやピサロといった新大陸の征服者たちは、レコンキスタの戦士たちの精神を色濃く受け継いでいました。
レコンキスタの終了は、イベリア半島の経済構造にも大きな影響を与えました。
レコンキスタによってグラナダ王国が滅ぼされ、イベリア半島のイスラーム勢力は一掃されました。しかし、それによって逆にイスラーム世界との交易が難しくなってしまったのです。これにより、スペインやポルトガルは新たな交易ルートを求めて海へと進出することになりました。
レコンキスタを終えたポルトガルは、地中海貿易の代わりにアフリカ西岸を探索し、そこからインドへの航路を開こうとしました。これは、後にヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見へとつながっていきます。
スペインは、レコンキスタで多額の戦費を費やしていたため、国庫が厳しい状況にありました。そこで、海の向こうに新たな富を求めるようになったのです。特にコロンブスの航海は、レコンキスタ完了の年である1492年に承認され、大航海時代の幕開けとなりました。
レコンキスタの勝利は、スペインとポルトガルに「カトリック世界の守護者」としての使命を強く意識させることになりました。
レコンキスタは、イスラーム教徒やユダヤ人をキリスト教に改宗させる運動でもありました。この「改宗」の考え方は、新大陸に進出した際にも引き継がれ、現地の人々にキリスト教を広めることがスペインの使命とされたのです。
1492年、スペインはユダヤ人追放令を発布し、キリスト教以外の宗教に対して強硬な姿勢を取りました。これは、海外進出にも影響を及ぼし、植民地支配の正当化に「布教」が利用されるようになったのです。
1494年にはトルデシリャス条約が結ばれ、スペインとポルトガルは教皇の仲介で世界を分割しました。レコンキスタで培われた「カトリック勢力の拡大」という意識が、大航海時代の領土分割にも反映されたのです。
このように、レコンキスタの完了が直接的・間接的に大航海時代を生み出す要因となっていました。戦士文化の継承、新たな交易ルートの模索、宗教的使命感の拡大——すべてが海の向こうへと向かわせる原動力になったわけですね。